女性管理職の比率を増やすには?企業がとるべき対策を専門家が解説

働き方改革
女性管理職

生産性の高い企業が導入しているクラウド受付システムで「働き方改革」を

残業や社内でのストレス過多を軽減することで、働きやすい職場にしませんか?RECEPTIONISTを導入した企業では、以下のような効果がでました。

・1日50件の来客取次作業が「0件」になった
・総務業務が87.5%カットされて別業務を強化できた
・社員が気持ちよく働ける環境になった

初期費用無料・31日間の無料トライアルとコスト面でもサポートできるだけでなく、社員浸透も驚くほど簡単です。

RECEPTIONISTの資料を無料で受取る
税理士 岡和恵
大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。
システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

2019年5月、女性活躍推進法が改正されました。
 

この法律は2016年4月に施行されたもので、安倍首相の唱える「すべての女性が輝く社会づくり」の要となる法律でもあります。
 
この背景には、2020年までに女性管理職を最低30%にするという目標がありました。
 
目標は達成できるのでしょうか?女性管理職を増やすための考え方について解説します。
 

わが国の女性労働力の変遷

男女雇用機会均等法から女性活躍推進法まで

従来、わが国の企業では男性は総合職として長期的に働き、後に管理職となり、女性は一般職として補佐的な仕事をする。
 
そして、女性の多くは結婚や出産を機に退職するというコース別人事制度と性別がほぼ整合しているような期間が続いていました。
 
1985年に「男女雇用機会均等法」が制定されて以来、男性と女性が同じ雇用の機会を得て、仕事をしていくということが企業に求められるようになり、コース別人事制度が生まれたといわれています。
 
その中で、キャリアにつながる仕事をしていきたいという意欲をもつ女性が少しずつ増え、企業側も女性の視点からの企業活性化を望むようになってきていました。
 
そして、30年後の2015年、アベノミクスの成長戦略3本の矢の一つである女性活躍推進が表明され、2016年「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下、女性活躍推進法)」が制定されました。
 
加えて、2019年の改正では対象となる企業の従業員が301人以上から101人以上になる等適用範囲が拡大されました。
 

女性の年齢階級別就業率の推移(1986年~2016年)
 

この法律では、従業員101名以上の企業では、女性活躍推進のための数値目標を公表することや、女性の職業選択に資する情報の公表が義務付けられています。
 
この30年あまりで女性労働に関するデータの特徴であるM字型カーブは大きく上方に上がって、M字のくぼみが浅くなっていることがわかります。

 
このM字のくぼみを上に引き上げている原因が晩婚化や未婚化の進行によるものよりも、配偶者のいる女性の労働力率の上昇による効果が大きいということ、1985年以降ほぼ一貫して女性雇用者数は増加傾向にあり、特に非正規の職員の増加が著しいことも分かっています。
 
ここまでは、男女雇用機会均等法以来、女性の社会進出が進んでいることがわかります。
参考:内閣府 男女共同参画局 女性の年齢階級別就業率の変化及び推移

 

立ち遅れるわが国の女性管理職比率

先進国では最下位のわが国の男女格差

しかし、一方では悲観的なデータもあります。
 
2018年の国際労働機関(ILO)の報告によると、世界の管理職に占める女性の割合は27.1%達するとのことでした。
 
その中でわが国の管理職に占める女性の割合は12%にとどまり、先進7カ国(G7)で最下位であったそうです。
 
このILOの統計によると、わが国の女性管理職の割合は1991年の8.4%から、27年間で3.6ポイントしか上昇していないことが判明し、約30年間で女性管理職の割合がわずかしか上昇しませんでした。
 
GGI(2018)各分野の比較
 

さらに、官民協力のための国際機関である世界経済フォーラムが公表した男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)において、2018年のわが国のスコアは、149か国中110位(前回は144か国中114位)であることもわかりました。
 
この指数は、経済、教育、健康、政治の4つの分野において、男女間の平等不平等を数値化したもので、わが国は特に経済と政治分野における男女格差が大きいことが浮き彫りになり、諸外国、特に先進国においてわが国の男女間の不平等の大きさを認めざるを得ない形となりました。
 
参考:内閣府 男女共同参画局
 

その一方で、わが国では経済分野における男女間の格差に対し、既に2010年12月において「2020年30%」という目標を掲げていました。
 
この「2020年30%」目標とは、社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標のことです。
 
指導的地位とは、議会議員、法人・団体等における課長相当職以上の者、専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者となっています。
 
これを一般の企業に置き換えると、課長職以上の管理職として女性の比率を最低30%とする目標となります。
 
残念ながら、2012年から2019年の7年間で上場企業の女性役員数は約3.4倍に増えたものの、その割合は依然として5.2%(2019年)と低く、諸外国の女性役員割合と比較しても低い水準にとどまっています。
 
産業別で見ても、課長相当職以上の女性管理職は、医療・福祉分野では突出して高くなっているものの総じて30%を超える産業は少ないことは明らかです。
 
現状を考えると2020年までに女性管理職の割合を30%程度とする目標にはまだまだというところです。
 
参考:
内閣府 男女共同参画局 「2020年30%」の目標の実現に向けて
厚生労働省 「平成30年度雇用均等基本調査」の結果概要

 

女性管理職を増やすメリットとは

コミュニケーション能力とダイバーシティが企業を強くする

ここで改めて女性管理職を増やすメリットを考えてみます。
 
単に諸外国に追いつくという理由はさておき、女性の管理職を増やすメリットにはどんなことが挙げられるでしょうか?
 

高いコミュニケーション能力

取引先や他部門との交渉・対応だけでなく、リーダーとしてのスキルとして大きな役割を果たすのがコミュニケーション能力です。
 
一般的に、女性は男性はない視点や観察力により、取引の現場だけではなく、部下への心情的な気遣いなどが期待できるといえます。
 
また、一般的に女性は自らまわりの期待に応じた振る舞いをしたり、自分の考えを言葉で豊かに表現することが得意だといえるでしょう。
 
さらに、相手の気持ちを読み取ったり、相手の感情や心理を敏感に感じ取る力などをについて、総じて女性は秀でているといえるのではないでしょうか?
 
加えて、女性は会話の主導権を握って話を進めたり、まわりとは関係なく自分の意見や立場を明らかにしたり、納得させるために相手に柔軟に対応して話を進めるといった特徴も挙げることができます。
 
人間関係を第一に考えて行動する関係調整能力によってチームメンバーそが居心地のよい距離感を保ち、ゆるやかにチームを結束することで目標を達成していくことは高いコミュニケーション能力のなせる業かもしれません。
 
また、女性は置かれた状況に適応するために「どのように振る舞うべきか」という行動への瞬間的な判断力が優れているともいえるのではないでしょうか?
 
このような対人関係を円滑に運ぶための能力は、決して女性だけのものでもありませんが、高い察知能力や対人感受性の豊かさがもたらす良好な人間関係は企業にとって大きなメリットであるといえます。
 

多様性への期待

複雑化・多様化するビジネス環境への対応として、すべての社員が同じ価値観でものを見るのではなく、あえてそれぞれお互いの違いを認め合うことが正しいアプローチといえましょう。
 
このような手法を、ダイバーシティー・マネジメントといいますが、このダイバーシティ(多様性)によって、異質なものが掛け合わさり、今までになかった新たな価値が期待できるでしょう。
 
単に、女性と男性、若者と老人等、目に見える多様性だけではなく、価値観や感性といった深い意味での多様性から今までになかった新たな価値が創造される可能性が広がります。女性管理職の採用とは、まさにダイバーシティの実践といえるでしょう。
 

社会的認知度の向上

女性活躍推進法に基づいて自社の女性の活躍について行動計画を策定し、策定の旨を都道府県に届けた事業主は、厚生労働大臣の認定を受けることができます。
 
認定を受けた企業では、女性活躍推進事業主であることを社会に広くPRすることができます。
 
また、経済産業省では女性に限らず外国人や高齢者、チャレンジド(障がい者)など、多様な人材が能力を発揮し、企業の価値創造に参画していくいる企業としてダイバーシティ経営企業100選を選定しており、選定されれば、社会的認知度の向上が期待できます。
 
政府が東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を「中長期の成長力」のある優良銘柄として投資家に紹介する「なでしこ銘柄」制度を設けていますが、この銘柄に選ばれることによって投資家にとって魅力ある企業として紹介され、社会的に認知されることでしょう。
 
参考:
厚生労働省 女性活躍推進法に基づく認定制度
経済産業省 ダイバーシティ経営企業100選
経済産業省 なでしこ銘柄

業績向上への期待

女性管理職比率の増加が大きな企業ほど、過去5年間で経常利益が増加する傾向があるという結果があるようです。
 
女性が活躍できる企業とは、男女を問わず社員の個々の能力を十分に発揮できるしくみをもっているため、結果的に利益を上げるといえます。
 
ワーク(仕事)とライフ(生活)の調和を図ることをワークライフバランスといいいます。
 
ワークライフバランスを考え、ライフステージに合わせた多様で柔軟な働き方が選択できる企業は、優秀な人材が集まり、離職率が低下するというのは想像に難くありません。
 
ワークライフバランスを考えることが、結果的に女性管理職比率を高める効果をもつことになります。
 
そして、優秀な人材や離職率の低さは生産性の向上と結びつき、長期にわたって企業収益に影響し続けることでしょう。
 
参考:内閣府 男女共同参画会議資料

 

女性管理職を増やす上での注意点

細かなコミュニケーションやダイバーシティを踏まえた対応が必要

見てきたように女性管理職を増やす上では、コミュニケーション能力やダイバーシティを踏まえた対応が必要です。
 
しかし、単に女性管理職を増やせばよいという考え方だけでは、成功はしません。
 
企業においては、女性管理職に対する経営陣のメッセージをしっかり伝えること、共感を得ながら女性と共に新たなしくみを作ることが求められます。
 
例えば、ナンバーワンになりたいというよりもオンリーワンになりたい、上下関係ではなく横の関係を強く感じたい等に応えるような意識改革を伴ったしくみが必要となります。
 
具体的には、能力や経験不足に対する自信の欠如にはOJTを含めた教育により不安感を払拭し、上下関係の明確なリーダーシップに抵抗感を示す場合には支援型リーダーシップを求める等、女性側に寄り添った変革をどれだけ考えられるかがカギとなるでしょう。
 
働いていると育児や介護などライフイベントと仕事の両立への不安がつきものですが、これらをどう乗り越えるかは、本来女性だけの悩みではないことを企業が認識していることも重要です。
 
結局、性別にとらわれず優秀な人材を積極的に育成できる企業が、厳しい競争を勝ち抜き、各時代を生き抜く企業となりうるのではないでしょうか。
 

事例にみる女性管理職活用

株式会社USJと株式会社プラザ企画

ここで2つの企業事例を紹介します。
 
1件目は株式会社USJ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンです。
 
USJの2020年度人材募集時における管理的地位にある者に占める女性の割合は22.5%となっています。
 
USJでは2005年度以降、育児休業などの制度整備、キャリア教育の機会提供等のしくみを整え、日本初となる女性管理職の公募(2012年)を実施しました。
 
また、「多様な人材が経営を担っている状態こそが企業のあるべき姿である」との考えのもとにダイバーシティを積極的に推進してきました。
 
そもそもUSJの来場者に占める女性の割合は高く、女性やファミリー視点の開発や意思決定にあたっては、女性管理職の存在は極めて重要でした。
 
USJでは、女性登用推進を経営戦略として打ち出し、成功した事例であるといえます。
 

2件目は中小企業ながら検討している事例です。岩手県奥州市で宿泊業を営む株式会社プラザ企画です。
 
女性の活躍を推進している企業が厚生労働大臣から受けることができる認定として、「えるぼし」認定があります。
 
プラザ企画は評価項目を満たす項目数に応じて与えられる3段階の認定のうち、最高の認定を2017年に受けています。
 
働き方の多様性や柔軟性を確保するために社員タイプ選択制を導入し、雇用タイプ(限定正社員や短時間正社員等)を7種類用意して、社員のニーズやライフステージに合わせて選択できるようにしています。
 
さらに、管理職への登用に関して、年齢と性別へのこだわりを払拭するために部課長制を廃止。
 
フラット&チーム組織化を実施し、役割チームごとにリーダーを設置し権限移譲をした結果、チームリーダーにも女性の登用が進む結果となりました。
これらの企業に共通するのは、女性の持つ視点と事業の性格をよく考え、その上でダイバーシティを取り込んだことであるといえます。
 
参考:
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
株式会社プラザ企画
厚生労働省 「えるぼし」認定企業

 

まとめ

働き手不足や変革が求められる中、企業は女性の労働力、とりわけ女性管理職の存在が将来の企業を左右する課題であることにどれだけ気づいているのでしょうか?
 
USJの成功例などを見ると、2020年でなくとも「女性管理職比率30%」を達成できる力のある企業の将来は明るいといえるのではないでしょうか?

受付の効率化で、働き方改革
クラウド受付システム「RECEPTIONIST」

内線電話を使わずに、ビジネスチャットや専用スマホアプリで直接担当者に通知するため、来客の取次が「0」に。「調整アポ」機能を使えば面倒なアポイント日程調整も自動化できます。リリース約2年で導入社数2,000社突破!無料トライアル実施中です!

無料で資料を見る