社労士が解説!働き方改革の勤務間インターバル制度とは?

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ヨーロッパでは古くから導入されている「勤務間インターバル制度」。働き方改革法案で定められたことを皆さんはご存知でしょうか?
長時間労働を抑制するために、すでに多くの企業が取り入れています。まだまだなじみがないと思っている方のためにも、目的や導入までの流れを解説し、導入事例を紹介します。是非ご検討を。
▼目次
働き方改革で勤務間インターバル制度導入!本当に効果があるの?
勤務間インターバル制度の目的
「勤務間インターバル制度」とは、前日の終業時刻と翌日の始業時刻との間に、一定時間以上の生活時間や睡眠時間を確保できる休息時間を設け、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働くことができる制度のことです。
睡眠には心身の疲労を回復する働きがあり、睡眠が不足すると生活習慣病のリスクが高まるといわれています。睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は、ヒューマンエラーの原因ともなり、健康だけではなく仕事での作業効率の悪化を引き起こす原因にもなります。
また、厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査」によると、「勤務間インターバル制度」を導入している企業は1.8%と低調なこともあり、「働き方改革」の取り組みとして、政府は勤務間インターバル制度を推進しています。
2018年の働き方改革関連法により、労働時間等設定改善法が改正され、2019年4月から勤務間インターバル制度の導入の努力義務が法律に新たに盛り込まれました。
勤務間インターバル制度は、睡眠時間や生活時間を確保し、労働者が健康でやりがいを持って働くことができる「働き方改革」を推進する制度なのです。
参考:
勤務間インターバル制度 厚生労働省
健康づくりのための睡眠指針 2014 厚生労働省
勤務間インターバル制度導入のメリットとは
「勤務間インターバル制度」を導入するメリットは一連の3つのステップで職場に好循環をもたらすことにあります。
- 健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる
- 生活時間の確保によりワーク・ライフ・バランスの実現に資する
- 魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながり、企業の利益率や生産性を高める可能性がある
睡眠時間の確保は健康維持に繋がります。睡眠時間と生活時間を充分に確保することで心身ともにリフレッシュした状態で翌日の仕事に取り組むことができます。
従業員は、「仕事を早く終わらせて家族と過ごす時間を増やす」「趣味の時間や友人と会う時間を増やす」ためにも効率よく集中して働くようになります。そして、生活時間の確保によりワーク・ライフ・バランスが実現することになります。
長時間労働の抑制に繋がり、結果的に、企業にとっても「人材の定着」「人材確保」のメリットをもたらします。効率的に労働者が業務に集中して取り組むことで、企業の生産性を高める効果も期待できるのです。
長時間労働の抑制と生産性の向上は「働き方改革」が目指す大きなテーマです。そして、「働き方改革」の目的とマッチするのが、「勤務間インターバル制度」でもあるのです。
勤務間インターバル制度とはどんな制度?
勤務間インターバル制度における労働時間と休息時間の関係について解説します。
通常の働き方と「勤務間インターバル制度」を導入している会社とで、働き方にどのような違いがあるかを見ていきます。午前8時から午後5時を就業時間とする会社のケースで比べてみてください。
インターバル(休息時間)を定めた場合には、残業をしたときに働き方が変わってくることになります。
勤務間インターバル制度を導入していない通常の会社の場合
通常、労働時間(就業時間)は就業規則で決められています。具体的には、「午前8時から午後5時(休憩時間1時間)」など、会社によって異なります。毎日午後5時に業務が終わり、家に帰れるなら何の問題もありません。
しかし、月末や急な仕事で残業することもあるでしょう。残業で午後11時まで仕事をすることも時にはあるかもしれません。そのようなときでも、翌日午前8時にはいつも通りに出勤しなければならないのが、普通の働き方です。
どんなに遅くなっても翌日は8時に出勤するので、前日午後11時まで残業をすると、家に帰って夕飯を食べてお風呂に入れば夜中の2時くらいになってしまうのではないでしょうか。
この場合、朝6時に起きるとなると睡眠時間は4時間しかありません。これでは寝不足で出勤することになってしまいます。1日か2日くらいなら何とかなっても、毎日では大変です。寝不足で集中力が落ちて思わぬミスをすることにも繋がりかねません。
勤務間インターバル制度を導入している会社の場合
「勤務間インターバル制度」で11時間のインターバルを定めていた場合には、次のようになります。
午後11時まで残業をすると、翌日の勤務時間は11時間後の午前10時となります。この場合、夜中の2時に寝て8時に起きるとしても、6時間の睡眠時間が確保できます。
このように、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間のインターバルを設け、残業をしたときには翌日の始業時刻を繰下げることにより、労働者の生活時間や睡眠時間を確保することができるのです。
このほか、ある一定時刻以降の残業を禁止したり、始業時刻より前の勤務を禁止したりするなど、インターバルとして定めた休息時間が必ず確保できるようにルールを作ることも可能です。
このケースでは、始業時刻を2時間繰り下げて翌日午前10時とするので、終業時刻が午後7時になってしまいます。さらに残業をすると、その翌日の始業時刻が午前11時や午後12時と毎日少しずつ遅くなってしまうことが考えられます。
始業時刻がずれないように、始業時刻が遅くなった「8時から10時」の2時間を勤務したものとみなして終業時刻は通常通り午後5時とする方法もあります。
法律上は、「休息時間(インターバルの時間)を〇〇時間以上」と具体的な時間数を定めていません。自社の現在の残業時間の状況や業務内容に応じた休息時間の設定をよく検討する必要があります。
参考:厚生労働省 「ワーク・ライフ・バランスを向上させる勤務間インターバル制度」より
勤務間インターバル制度の導入までの流れを解説
勤務間インターバル制度導入の手順
勤務間インターバル制度を、どのような手順で導入すればいいのかわからない方も多いと思います。導入時には就業規則にも定めが必要となります。
最も重要なポイントは、労使の話し合いで現状の労働時間の実態を把握し、労働者の意見を取り入れることにあります。
制度導入の検討から実施までの流れを以下の手順で考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
- 1 制度導入の検討
- 2 制度設計の検討
- 3 試行期間
- 4 検証・見直し
- 5 本格稼働
「制度導入の検討」では、導入の目的を明確にして労使間の話し合いの機会の整備する必要があります。労使間での話し合いから労働者の意見を聞き、企業内の労働時間の実態を把握しなければなりません。
「制度設計の検討」では、対象者の範囲、休息時間数、休息時間が次の勤務時間に及ぶ場合の勤務時間の取扱い、適用除外、時間管理の方法などを具体的に検討します。実態を踏まえた休息時間確保の制度設計が重要になります。
「試行期間」を設けて、制度の効果を検証します。問題が発生したときには詳細に記録に残し、問題の原因を分析しなければなりません。
「検証・見直し」では、試行期間中に発生した問題の洗い出し、必要な見直しをします。問題の原因を解決する方法を踏まえ、再度制度設計を見直し、修正後「試行期間」を設けて効果を再検討します。
「本格稼働」時までには就業規則に定めなければなりません。一定期間後の見直しも場合によっては必要となるでしょう。
参考:「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会報告書」 概要 厚生労働省
勤務間インターバル制度導入時の注意するポイント
制度の導入の際、注意するポイントがいくつかあります。デメリットをよく検討せずに無理に導入しても、かえって業務の効率化を妨げることにもなりかねません。
通常始業時間に出勤しない場合の代替要員がいない
店舗の場合、始業時刻を繰り下げることで開店時間に出勤できないと、代替要因がいなくて困るケースが考えられます。また、交代制勤務の場合には、始業時刻の繰り下げがシフトに影響する可能性があります。
翌日の開店時間を考えると、全員が残業せずに必要最小限の人員で残業する必要があります。代替要員の確保やシフト編成に留意して、ルールを作るようにしましょう。
現場の中間管理職不在が運営上の問題になる場合がある
管理職不在の時間が発生すると、業務上の指示が徹底できずに業務に支障が出るケースが考えられます。業務の引継ぎの方法や指揮命令系統をよく検討する必要があります。
業種によっては仕事に支障が出ることもある
業務の内容が勤務間インターバル制度の導入に不向きなケースも考えられます。取引先との打ち合わせや会議に出席しないというわけにはいきません。
仕事に支障をきたさないようにするためには、勤務間インターバルを実施する労働者の範囲を一部の部署に限定する方法も考えられます。部署によって休息時間を変更することも効果的かもしれません。
残業が多い会社だと始業時間がずれていく可能性があり、運用が困難になる
残業が恒常化し、常に残業をしている状態だと始業時刻が徐々に繰下げられ運用が困難になる可能性があります。まずは、導入前に業務内容の見直しや効率化を優先的に行ないましょう。
始業時刻を繰り下げた場合には、その時間は勤務したものとみなして残業をした翌日の労働時間を短くするなどの方法も考えられます。
繰下げた時間分を有給にするか無給にするかについても、労使とのトラブルにならないよう、よく検討する必要があります。
勤務間インターバル制度導入事例を紹介
厚生労働省 「ワーク・ライフ・バランスを向上させる勤務間インターバル制度(導入事例集)」で紹介されている勤務間インターバル制度を導入している会社を見てみましょう。
勤務間インターバル制度で、「業務の見える化」が進む
【株式会社 スリーハイ】(製造業)
残業については事実上「野放し」の状態で、繁忙期には残業や休日出勤が「当たり前」になっていたところ、インターバル制度を導入。
インターバル時間は9時間で対象は全員。しかし、8時半始業で、業務の性質上、朝礼には原則全員が参加し、その日の作業内容をパートタイム含む全従業員で共有する必要がありました。
そこで8時半から逆算して、前日の23 時くらいまでには退社するように、9 時間という時間を設定し、深夜残業の抑制などを図りました。
(導入後の効果)
勤務間インターバル制度導入後、社員の意識も大きく変わり、残業も少なくなりました。同時期にES 向上の一環として、勤務時間内や終業後に、ヨガや英会話などのさまざまな活動を企画し、社員やパートに参加してもらえるような試みを実施。
製品製造を担う製造部では、勤務間インターバル制度導入後に、月一回の部門会議で誰がどれくらいの仕事を持っているかという点で業務の「見える化」を推進し、可視化されるようになりました。
この事例は、「そんなに残業しなくていいのではないか」という気づきからお互いが助け合う気運が醸成された事例です。
勤務間インターバル制度導入で、時間第労働が約30%減少
【株式会社スナップショット】(情報通信業)
繁忙期は作業が深夜におよぶ場合があり、また、開発しているシステムの制約上サーバーメンテナンスのために夜間勤務が必要な場合がありました。
勤務間インターバル制度導入直近月において、時間外労働は、最も多かった者で深夜も合わせて75 時間。一方で、時間外労働が月10 時間程度の社員や、ゼロの社員もいるという状況。
平日にオーバーワークが続くと、休日を挟んでも蓄積した疲労を完全に回復するにいたらないこともあり、全社員を対象に、通勤時間含め11 時間のインターバル時間を導入しました。
インターバルを取って遅く出社した場合も定時での退社を可とし、所定労働時間が短縮される場合も給与支払い対象としています。
(導入後の効果)
導入前後で比較すると、時間外労働は約30% 減少し、社員の健康管理意識が向上しています。制度を通して、社員の健康確保、時間意識の改革、自己啓発時間確保などに大きな効果が確認されています。
翌日の出社に備え「前日深夜までの残業を控える」という意識が芽生えるなど、時間外労働が減少しただけではなく、業務効率の向上が認められています。短い時間で生産性の高い仕事ができるようになると、それが結果的に競争力や製品開発の向上にも繋がるのです。
この事例から、人材確保という視点でも、勤務間インターバル制度を導入していること自体が大きなアピールとなることが窺えます。
インターバル制度導入が、介護業界の働き方を変える
【社会福祉法人 あいの土山福祉会 エーデル土山】(医療、福祉)
交替勤務制があり、勤務間インターバル制度の導入前は、19 時終業、翌朝6時始業という勤務シフトがあり、現場には「19 業、朝6 時始業のシフトはつらい」と不満の声がありました。
インターバル時間は12 時間。対象は全職員。最も朝が早いシフトが19時終業、翌朝8 時半出勤になったので、実際には13 時間半のインターバルを確保しています。
夜間に入居者の容態が急変するなどして、緊急で出社しなければならないケースがあります。そのようなときには夜間に緊急出社し、翌朝始業までの勤務間インターバルが取れない場合は、始業時間を遅らせています。
緊急出勤時間が深夜の場合は、特別休暇(勤務体制が確保できることを条件に時間単位で取得できる有給休暇)と時間単位の有給休暇を使って翌日を休暇扱いにしたり、翌日の休憩時間を1時間プラスして2時間としたりするなどの対応を、就業規則に書き加えています。
(導入後の効果)
就業に関する制度としてフレックスタイム制度などを設けていますが、ワーク・ライフ・バランスの一環として勤務間インターバル制度に取り組んでいくスタンスで相乗効果が得られています。導入にはコストがかかっていません。
勤務間インターバル制度の導入と前後して、こちらの会社は、2016 年に女性が輝く先進企業 に選ばれ、2017 年には施設長がイクボスアワードのグランプリを獲得、これをきっかけに離職率が大幅に低下し、ほぼゼロになっています。
現在、就職希望者が何人も待機している状態です。また、こちらの会社には、再入職パスポートという制度があり、出戻りの職員を歓迎しています。これを利用して、他の施設へ転職した職員が復職するケースがたくさんあるようです。
勤務間インターバル制度は、働きやすい職場環境を整備する具体的な効果が期待できます。この会社の事例は、他の制度と併用することで相乗効果がある事例です。
従業員の健康増進と働きやすい環境づくりのために
【株式会社 ニトリホールディングス】(小売業)
店舗と事業所によって勤務形態が少し異なります。店舗の場合は営業時間があり、従業員がシフトを組みながら交代制で勤務する形です。
本部機能の場合、基本の勤務時間が朝9時半から夜18時半まで。システム管理や商品発注など、店舗運営業務に関わる部署は、業務の繁閑にあわせて勤務シフトを選べるようになっています。
一方、店舗では遅番と翌日の早番が連続したときに、インターバル時間が不足する状況がありました。
店舗のインターバル時間は10 時間。出退勤時のタイムカードのログデータで把握し、就業規則の補足資料として全従業員が閲覧できる勤怠マニュアルを配置し、インターバル時間の確保を努力目標として明記するようにしています。
勤務シフトを登録するときにインターバル時間が10 時間未満だと警告が出るシステムに改修、これにより勤務シフト計画時に、インターバル時間が不足しているとシフト登録ができない仕組みになっています。人事労務部は、インターバル時間を確保できていない部署に対して、確保できなかった理由の報告を求め、各部署と連携し勤務間インターバル制度への意識を高めています。
(導入後の効果)
店舗の場合、スキルや経験値の高い人ほど遅番や早番を任されがちであり、繁忙期などでは意図せずにインターバル時間が短くなってしまうことがありましたが、制度の趣旨が浸透し、そういった問題はほとんどなくなりました。
制度の目的が正しく浸透するだけでなく、シフト計画段階の問題に先回りして手を打つことができるため、人事労務部と各部署とのコミュケーションは以前より活発化しているようです。
制度の導入により、定時で仕事を切り上げる意識が非常に高くなり、無駄な時間外労働がなくなったという声や、店舗の従業員からは勤務間インターバル制度があることで、終業時間を意識した働き方に変化しています。
社会全体の流れとしてもワーク・ライフ・バランスを重視する方向になっていますので、インターバル制度の導入は、就職を希望する学生たちに向けたプラスポイントのひとつになっているといえます。
世界的にもインターバルの時間は11 時間がスタンダードです。店舗で働くパート従業員の中には高齢の方もいるため、健康的・体力的な配慮という観点からも働きやすい環境や制度つくりが大切です。
まとめ
制度を導入していたとしても、自己管理ができていなければ意味がありません。制度設計をする前に、実態を把握することが大切です。
日本の働き方の暗黙の了解が、今の時代にマッチしないものになってきている可能性があります。ワーク・ライフ・バランスを意識した働き方は、離職率の低下・有能な人材確保に結び付き、企業における生産性の向上、企業の業績の向上をもたらすと考えられます。
自社の働き方をもう一度見直して、勤務間インターバル制度導入を検討してみてください。従業員が健康で働きやすい職場づくりに役立ちます。
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