働き方改革で36協定の変更点とは?新旧36協定の違いについて

生産性の高い企業が導入しているクラウド受付システムで「働き方改革」を
残業や社内でのストレス過多を軽減することで、働きやすい職場にしませんか?RECEPTIONISTを導入した企業では、以下のような効果がでました。
・1日50件の来客取次作業が「0件」になった
・総務業務が87.5%カットされて別業務を強化できた
・社員が気持ちよく働ける環境になった
初期費用無料・31日間の無料トライアルとコスト面でもサポートできるだけでなく、社員浸透も驚くほど簡単です。
働き方改革で注目される時間外労働の上限規制。大企業はすでに始まっています。
中小企業は2020年4月からですが、皆さんは36協定届が新しく新様式になっていることをご存知でしょうか?
急に働き方を変えることはできません。新旧36協定届の変更点や注意点をわかりやすく解説します。是非、今からご準備を。
▼目次
時間外労働の上限規制で何が変わる?
時間外労働の上限規制の概要
大企業では2019年4月から、中小企業は2020年4月から時間外労働の上限規制の対象となります。
大企業はすでに施行されていますが、中小企業でも猶予はありません。急に働き方を変えるといっても無理な話です。早急に準備を始めましょう。
今回の法改正によって、時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間と労働基準法に規定されました。
これまでの限度基準告示(厚生労働大臣の告示)による上限は、罰則による強制力がなかったのですが、今度は法律に明記されています。
そのため、違反した場合には罰則が適用されることもあり得るのです。
1日8時間及び1週40時間の法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合や法定休日に労働させる場合、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(以下36協定届という)を必ず労働基準監督署に届け出なければなりません。
そして、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合には、「特別条項」と呼ばれる特別条項付きの「時間外労働・休日労働に関する協定書」(以下36協定という)で協定することで、原則を上回る時間外労働を行うことができます。
これまでの特別条項には、労働時間の上限がありませんでしたが、法改正により以下を守らなければならなくなりました。
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
- 時間外労働と休日労働の合計が、「2か月」「3か月」「4か月」「5か月」「6か月」の平均が全て1か月当たり80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度
違反した企業は、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられるおそれがあります。
無制限に残業ができなくなり、しかも、違反すれば罰則が科せられる可能性があることが、今回の法改正の大きなポイントです。
▼その他働き方改革における法改正の要注意の罰則規定については下記をご覧ください。
中小企業も待ったなし!時間外労働の上限規制で働き方の見直しが必要
時間外労働に上限が設けられることで、働き方が大きく変わる可能性があります。
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
どんなに忙しくても、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満に抑えなければなりません。
「仕事が集中して徹夜で仕事」「決算だから今月は仕方がない」ということが許されなくなってしまうのです。
- 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月」「3か月」「4か月」「5か月」「6か月」の平均が全て1か月当たり80時間以内
「平均のすべてが月当たり80時間以内」ということは、今月90時間時間外労働があったとすると、来月は少なくとも70時間に抑えなければならないということになります。
「2か月」「3か月」「4か月」「5か月」「6か月」全てを平均80時間以内とするには、毎月過去6ヶ月分を遡って平均の時間を計算しなければなりません。
労働基準法において、法定休日は「週に1日」とするのが原則です。今後は、法定休日に労働した時間を月100時間未満・月当たり平均80時間以内にカウントする必要があることが大きな相違点です。
特別な事情があって労使が合意したとしても、限度時間をオーバーすれば法律違反となるので注意が必要です。
今後は時間外労働の上限規制により労働時間の削減が求められます。
企業にとっては、労働時間を削減しつつ収益を維持するのは容易なことではありません。「仕事があっても、これ以上働くことができない」なんてことがあり得るのです。
今の内から労働時間について従業員に周知して、上司・部下の意識改革が必要となるでしょう。
しかし、働き方改革の目的は生産性の向上にあることを忘れてはいけません。
業務内容の見直しと効率化を行うこと、場合によっては機械の購入・システムの導入など設備投資によって代替えすることを検討する必要があります。
中小企業の猶予期間ももうわずか、待ったなしです。今から働き方を変えていかないと間に合いません。
現在企業は、従業員の意識改革と設備投資による労働時間の短縮、業務効率化の必要性に迫られているのです。
そのため、働きやすい環境をつくるための手段として、長時間労働の削減とともに休み方改革に取り組んではいかがでしょうか。働きやすく人がうらやむ企業は、企業のイメージアップにもつながると思います。
▼時間外労働の上限規制の対策については下記も参考にしてください。
働き方改革で時間外労働に上限規制!企業の取るべき対応策とは?
36協定のどこが変わった?具体的な注意点を解説
36協定届の新しい様式は1つではない!
新しい36協定届には、特別条項のない36協定(様式9号:一般条項)と特別条項付きの36協定届(様式9号の2:2枚組のもの)の2種類にわかれます。
36協定には以下のことを定める必要があります。
- 労働時間を延長し、または休日に労働させることができる場合(具体的な理由)
- 対象期間(1年間に限る)
- 1年の起算日
- 有効期間
- 対象期間における「1日」「1か月」「1年」について、労働時間を延長して労働させることができる時間または労働させることができる休日
- 時間外労働と休日労働の合計が「月100時間未満」「2~6か月の月平均が80時間以内」を満たすこと
特別条項には、さらに以下の事項について協定する必要があります。
- 臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合における「1か月の時間外労働と休日労働の合計時間数(100時間未満)」「1年の時間外労働時間数(720時間以内)
- 限度時間を超えることができる回数(年6回)
- 限度時間を超えて労働させることができる場合(臨時的な特別の事情)
- 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
- 限度時間を超えた労働にかかる割増賃金率
- 限度時間を超えて労働させる場合における手続き
36協定作成時に気をつけたいポイントと中小企業の範囲を解説
36協定届の新様式作成のポイント
①中小企業の場合は、2020年4月以後の期間のみを定めた36協定届から、新しい書式となります。
対象となる期間が2020年3月31日までに始まる場合、従来の様式、新しい書式どちらでも提出が可能です。
②建設の事業や自動車運転業務、医師は2024年4月から対象となります。用途に応じた36協定届の書式があるので、注意が必要です。
厚生労働省や労働局のホームページなどから用途ごとに36協定届の書式がダウンロードできるので便利です。
③上限規制で、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満と定められています。
100時間はアウト、100時間を下回る時間でなければ、労働基準監督署から再提出を求められるので注意が必要です。
また、年720時間は時間外労働(法定外残業)だけでカウントします。
「月100時間未満」「1か月平均80時間以内」は時間外労働だけではなく法定休日の労働時間もカウントしますので、気をつけましょう。
④2~6か月の平均80時間以内とは、毎月6か月間を遡って常に「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」で80時間以内という意味です(ただし、法施行日前までは遡る必要はありません)。
時間外労働が多い企業は、労働者一人一人の労働時間の月平均を毎月計算する必要があるので、たいへんな手間と時間がかかります。
⑤労働者派遣事業の場合は、派遣する事業所の業種で判断します。
派遣先が建設業や運転業務の従事者、大企業者や中小企業とそれぞれ異なることもあるでしょう。その場合、一人一人派遣先の事業所に応じた36協定届を作成することになります。
参考:改正労働基準法に関するQ&A-厚生労働省
うちの会社は中小企業?「日本産業分類」の中小企業の範囲とは
ご自分の会社は本当に中小企業ですか?業種の分類は「日本産業分類」に従って判断します。
中小企業の範囲は、「資本金の額または出資の額」「常時使用する労働者の数」のいずれかが、以下の要件を満たせば、中小企業になります。
<小売業> 資本金・出資の総額が5,000万円以下 または 労働者数50人以下
<サービス業> 資本金・出資の総額が5,000万円以下 または 労働者数100人以下
<卸売業> 資本金・出資の総額が1億円以下 または 労働者数100人以下
<その他> 資本金・出資の総額が3億円以下 または 労働者数300人以下
資本金と常時使用する労働者数のいずれかを満たしていれば中小企業となります。例えば、小売業の場合、資本金が5,000万円以下であれば従業員は何人いようと中小企業となります。
注意のポイント
①法人ではなく個人事業主の場合は、資本金の概念がないため、労働者数のみで判断します。
例えば、コンビニエンスストアのオーナーなどの場合、複数店舗を経営してアルバイトが全部で50人以上いると、大企業となります。この場合、2019年4月以降の36協定書は新書式で提出しなければなりません。
②社会福祉法人や医療法人の一部など出資金のない法人も①と同様です。
労働者数は企業単位の人数(本社・支店や営業所など全てを合計した労働者数)となるので、サービス業で資本金や出資金の概念がない法人は、100人以上労働者がいると大企業になります。
新しい書式はどこが変わった?新様式記入時のポイント
新様式記載のポイントを紹介
36協定届を記載するときに間違いやすいポイントを紹介してきます。
実際に作成する際には、厚生労働省のホームページから36協定の新様式がダウンロードできますので、是非活用してください。記載例もあり、大変参考になると思います。
一般条項で定める注意のポイント
①協定期間の「起算日」を定める
新しく協定期間の起算日の記入欄が設けられました。起算日は、対象期間の途中で36協定を再締結する場合にも変更することはできません。
「1年の限度時間」や特別条項で定める「限度時間を超えることができる月数」を数える必要性から、原則として起算日の変更は認められないので注意してください。
②「1日」「1か月」「1年」についてそれぞれ時間外労働の限度を定める
旧36協定では「1日」「1日を超えて3か月以内の期間」「1年」とされていたものが、「1か月」「1年」の労働時間の上限が定められたことにより変更されました。
なお、「任意」となっている部分は記載しなくても大丈夫です。
③時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内にする
新様式には労使で合意したことを確認するチェックボックスがあります。
チェックボックスのチェックを忘れると無効になり、労働基準監督署から返戻されることもあります。
なお、中小企業で猶予期間中の場合はチェックがなくても受け付けてもらえます。
④労働保険番号・法人番号を記載する
新しく設けられたので忘れないように記載しましょう。
特別条項で定める注意のポイント
①限度時間を超えて労働させることができるのは「臨時的な特別の事情がある場合」のみ
「臨時的な特別の事情」はできる限り具体的に定めなければなりません。
一般条項よりも厳格に判断され、具体的で臨時の必要性がない場合には認められないこともあります。
「予算・決算業務」「機械トラブルへの対応」「大規模なクレーム対応」などと、できる限り臨時で具体的な理由を記載しましょう。
②健康及び福祉を確保するための措置を定める
10種類の健康確保措置の記載例が例示されています。これは記載例ですので、企業独自の健康確保措置を考案して協定してもかまいません。
参考:改正労働基準法に関するQ&A-厚生労働省
時間外労働の上限規制 わかりやすい解説-厚生労働省
まとめ
今や過重労働・長時間労働はブラック企業の代名詞にもなっています。
長時間労働は有能な人材の流出のみにとどまらず、企業のイメージ低下による業績への影響も懸念される一大事。「法律を守ればいい」ではすまされません。
働きやすい環境をつくるための手段として、長時間労働の削減や休み方改革に取り組んではいかがでしょうか。
働きやすく人がうらやむ企業は、企業のイメージアップにつながります。人手不足解消・業績向上の第一歩として、労働時間の削減に労使共に協力できる職場づくりが大切です。
受付の効率化で、働き方改革
クラウド受付システム「RECEPTIONIST」
内線電話を使わずに、ビジネスチャットや専用スマホアプリで直接担当者に通知するため、来客の取次が「0」に。「調整アポ」機能を使えば面倒なアポイント日程調整も自動化できます。リリース約2年で導入社数2,000社突破!無料トライアル実施中です!