タバコ休憩はズルイ?労務管理におけるタバコ休憩の注意点

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【筆者】特定社会保険労務士・産業カウンセラー・通訳案内士(中国語)  川村姿子

大学卒業後、国家公務員、中国への社会人留学、中小企業の総務人事業務を経て、ポータルサイト「こころの耳」運営事務局で、働く人向けのメンタルヘルス情報を提供。社会保険労務士として四つ葉事務所を設立後は、これまでの経験を活かし、メンタルヘルス研修の講師や人事労務管理の指導で中国人経営者にも対応している。HP:https://woyidingbufangqi.wixsite.com/yotuba/home

 
職場でタバコ休憩について、喫煙者と非喫煙者の間で不平不満が生じていませんか?
 

色々な考え方があるかと思いますが、できるかぎり気持ちよくお仕事したいというのは皆同じだと思います。
 

タバコに対する個人の好き嫌いではなく、労務管理の視点からご一緒に考えてみましょう。
 

タバコ休憩の時間について

勤務時間中のタバコ休憩は労働時間になる?

お昼休みの休憩時間中の喫煙は、労働基準法第34条3項によって「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。」と定められているので問題はありませんね。
 

また、休憩時間は労働時間に当たりません。
 

では、喫煙者と非喫煙者の間で不満が生まれるのことが多い、勤務時間中のタバコ休憩は如何でしょうか?
 

「休憩」という言葉がついているし、仕事をしていない時間なので、労働時間外なのでしょうか?
 

これは一概には言えません。
 

そもそも労働時間とは何でしょうか?
 

実は労働基準法では、労働時間についての定義を示していません。
 

しかし、行政解釈の平29.1.20 基発0120 第3 号では「労働時間とは、使用者の指揮命令下にある時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」としています。
 

では、労働時間内のタバコ休憩はどうなるでしょうか?
 

タバコ休憩中に、上司から命令をされたり、すぐに戻って対応したりしなければならない場合には、労働時間に当たると考えられます。
 

逆に、職場を離れて、上司から一切命令がされなかったり、戻る必要がなかったりすれば労働時間に当たらないと考えられます。
 

タバコ休憩の場所について

タバコは会社で吸っていい?

改正健康増進法が、2020年4月1日より全面施行されることにより、屋内原則禁煙、事業者の分類に沿った喫煙室の設置が必要になりました。
 

喫煙場所はその施設によりますが、喫煙専用室など施設内の一定の場所を除き、原則としてタバコが吸えなくなりました。
 

貴社では、喫煙場所がどのようになっているか、改めて確認してみましょう!
 

事務所や飲食店等の場合ですと、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準を満たした喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室等以外の屋内の場所では、原則としてタバコは吸えません。
 

ちなみに、喫煙して良い場所以外で喫煙してしまった個人については、最大30万円の罰金刑がまっています。
 

また、喫煙して良い場所以外で喫煙させてしまった施設の管理者については、最大50万円の罰金刑があります。
 

 

その他の注意点として労働安全衛生法第68条の2「事業者は、労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする」という努力義務があります。
 

タバコ休憩により生じる不平不満について

タバコ休憩のズルイ点とは?

非喫煙者にすれば、勤務時間中にタバコ休憩をしている喫煙者に対して何かしら面白くない感情を抱いてしまうことがありますが、具体的にどんな点がトラブルの元になるのか改めて洗い出してみました。
 

大きく主に3つあると思います。
 

(1)勤務時間中にタバコ休憩している人と、同じ給与で納得がいかない(金銭の問題)
 

(2)タバコ休憩で不在中に、確認したいことがあってもすぐに話せない、その人の分まで電話を取らないといけない、休憩で中断して仕事の効率が悪いなど(仕事の質や量の問題)
 

(3)タバコ休憩後はタバコ臭い(生理的な問題)
 

(1)に関しては、法令には規定がないのですが、「ノーワークノーペイの原則」というのがあります。
 

労働契約の性質から「労働者が働かなければ会社に賃金の支払い義務はない」というものです。
 

それなら、休憩分の賃金を払わなければよいと思うかもしれませんが、そう単純ではありません。
 

前述した労働時間の定義から「使用者の指揮命令下に置かれた時間」であれば支払わなければいけないのです。
 

(2)に関しては、公務員に適用される法律には、条文上に規定されていますが、民間労働者に対して法令には規定がないのですが、労働契約に付随する義務として「職務専念義務」があります。
 

「労働者として雇われている社員は、会社の仕事だけに集中しなければならない」というものです。
 

これに当てはまるではないかと思うかもしれませんが、これもそう単純ではありません。
 

業務に支障をきたすものではない限り、常識的に考えて許される程度であれば支障がないという判決もあります。
 

(3)に関しては、スメルハラスメントに当たる可能性があるでしょう。スメルハラスメントに明確な定義はありませんが、臭いにより周囲を不快にさせる嫌がらせのことを指します。
 

もし、社員がタバコの臭いが気になって業務に集中できないなどの相談を受けたら、会社としては対応が必要です。
 

また、明らかにタバコの臭いで就業環境を犯しているのであれば、職場環境を整えなくてはいけません。
 

タバコ休憩による不平不満への対策

不満解消のためにできる具体策とは?

解消策は、各職場の状況によって異なると思いますが、一般的に考えられる方法を、上記の(1)~(3)で各々ひとつずつご紹介させて頂きます。
 

(1)勤務時間中にタバコ休憩している人と、同じ給与で納得がいかない(金銭の問題)

 

例えば、非喫煙者でも仕事中に私用メールをしたり、仕事に関係ないネット検索をしたりすることもあり、一概に不公平とは言えない状況もあるかと思います。
 

給与をカットするのではなく、労働者の健康増進を促す一環として「非喫煙手当」を設けては如何でしょうか。
 

(2)タバコ休憩で不在中に、確認したいことがあってもすぐに話せない、その人の分まで電話を取らないといけない、休憩で中断して仕事の効率が悪いなど(仕事の質や量の問題)

 

例えば、非喫煙者も席を立って長話をしたり、スマートフォンを頻繁にいじって業務を中断したりと効率が悪いこともあるかもしれません。
 

机に向かっている時間で仕事を評価するのではなく、仕事の成果で評価するようにしてみては如何でしょうか。
 

(3)タバコ休憩後はタバコ臭い(生理的な問題)

 

例えば、非喫煙者も香水や汗などで知らず知らずのうちに周囲に不快な思いをさせてしまっているかもしれません。
 

お互い様のところもありますが、会社の対応として本人に注意を促したり、席替えをしたり、空気清浄機を設置してみては如何でしょうか。
 

タバコトラブルに関する裁判例

実際にどんな判決がでているの?

昭和45年に、受刑者が「監獄で喫煙させないのは基本的人権の侵害にあたる」と訴えた裁判で、最高裁判所は訴えを棄却しました。
 

訴えは棄却となりましたが、結果として、喫煙させないことは基本的人権の侵害にあたるかもしれない、と喫煙する権利自体を否定しませんでした。
 

本件は、監獄という特殊な環境ではありますが、喫煙者の喫煙の権利の大本になったことにより、とても注目された裁判例になります。
 

大法廷判決での棄却理由には、
 

  • 監獄の現在の施設および管理態勢のもとにおいて喫煙に伴う火気の使用に起因する火災発生のおそれがあり、人道上重大な結果を発生させる可能性がある
  • タバコは生活必需品とまではいえず、普及率の高い嗜好品に過ぎないのだから、いつでも、どこでもタバコを吸う自由が保障されるものではない

 

という趣旨が述べられています。
 

この判決から、タバコを吸う権利は認められていますが、人に危害を与える場合は吸うことを大幅に制限されるということになります。
 

職場においても、同様にタバコを吸う権利は認められるでしょうが、人に危害を与える可能性がある場合には、吸うことを大幅に制限されるということになります。
 

その反対として、人に迷惑をかけない範囲においては、タバコを禁ずることも難しいでしょう。
 

 

まとめ

タバコ休憩についてみてきましたが如何でしたでしょうか。
 

タバコ休憩を一概に悪いと考えるよりは、皆が気持ちよく働くためにはどうすればいいのかに焦点をあてていくほうが現実的であり、建設的といえます。
 

各会社によってその方法は異なるかと思いますが、当事者同士が話し合い、理解しながら適切な解決策を探してみましょう。
 

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